ボコーダでの処理
通信機器として開発された「ボコーダ」は、可聴域の音、全てを伝えるのではなく、声のフォルマントの変化だけを検出し、伝送するといったものでした。フォルマントの変化を検出するのに「バンド・パス・フィルタ」と「エンベロープ・フォロア」を使い、また、再生するために「シンセサイザ」を使ったりします。因みに「バンド・パス・フィルタ」は、狭い範囲の周波数域の音だけを通すフィルタで、例えば、440Hz付近の音だけを取り出せたりします(こんな感じになります)。
- バンド・パス・フィルタで440Hz付近の音だけを取り出す -
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- ホワイト・ノイズを「バンド・パス・フィルタ」(複数個)に通したもの(中心周波数440Hz)
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この「バンド・パス・フィルタ」を幾つかの周波数域に分けて、並列つなぎして使うと、個々の周波数域で、音を取り出せるんです(こんなイメージ)
- 6バンドのバンド・パス・フィルタ(?) -
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- ホワイト・ノイズを並列つなぎで6つの「バンド・パス・フィルタ」に通しミックスしたもの
- (中心周波数は、それぞれ110、220、440、880、1760Hz)
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因みに各周波数域をバンドと呼ぶそうです。イメージ図のように、6つの周波数域を扱っているので、6バンドと言うみたいですね。実際のボコーダでは、バンド数はもっとあったりするみたいです^^;
という感じで複数個の「バンド・パス・フィルタ」を使い、各周波数域での音を取り出した後(周波数域がお互いにかぶってたりするので、大雑把な取り出し方になりますが…^^;)、これを、それぞれの周波数域で「エンベロープ・フォロア」に通します。すると、ギターの波形から、ギターのエンベロープを検出した時と同じ要領で(参考「エンベロープ・フォロア(Peak Follower)の波形」)、各周波数域の音量変化を取り出せます(こんなイメージ)。
- ボコーダにおける、バンド・パス・フィルタとエンベロープ・フォロアの処理 -
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- 声のフォルマント(おおよその^^;)をバンド・パス・フィルタで5バンドに分解しています。
- それぞれをエンベロープ・フォロアで、エンベロープを検出しています。
- おおよその図です^^;
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この音量変化をつかって、今度は、シンセサイザの音を変化させます。シンセサイザの音も、フォルマントを検出したのと同じように、同じバンド数の「バンド・パス・フィルタ」で分解して、それぞれの周波数域の音量を先のフォルマントから検出したエンベロープで変化させるんです(こんなイメージ)。
- ボコーダにおける、シンセサイザの処理 -
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- シンセサイザの周波数特性(おおよその^^;)をバンド・パス・フィルタで5バンドに分解しています。
- それぞれをフォルマントから検出したエンベロープにそって音量を変化させます。
- フォルマントに似た周波数特性になるので、シンセサイザが喋っているように聴こえるんです^^;
- おおよその図です^^;
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そうするとシンセサイザの音がフォルマントの変化に沿って鳴るので、シンセサイザが喋っているように聴こえます。更に、シンセサイザの音に音階をつけると、音階で喋っているようになります。通信機器の場合は、音階をつけないんでしょうね^^;
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